
第512号
郡市医師会長会議速報 <5月30日>
□□金井会長挨拶
●がん細胞の100種類以上の遺伝子を調べ、患者ごとに最適な治療法を探る、がんのゲノム検査について、医療保険の適用になることが昨日の中医協で了承されました。保険適用になること、遺伝子異常を見出して無駄な投薬を減らすことは良いことだと思いますが、医療費の圧迫が懸念されます。このような中、血液がん治療薬のキムリアは医療保険適用となり、薬価は1回当たり過去最高額の3,349万円です。
また、脊髄性筋萎縮症(SMA)に対する遺伝子療法の治療薬のゾルゲンスマが米国食品医薬品局(FDA)に承認され、世界で最も高額な製薬となり、1回の投与が約2億3,200万円との報道がありました。この薬は日本でも、厚労省が画期的な新薬を短期間で承認する制度の対象にして優先審査中とのことです。財源が限られる中、高額医薬品の承認によって、どこかにしわ寄せがいくことになります。OTC医薬品があるものについては保険適用外にしようという動きも出てきますので非常に心配をしております。
●2018年度からスタートした新専門医制度について、シーリング(定数上限)の問題があります。東京、神奈川、愛知、大阪、福岡の5都府県ではシーリングが設けられましたが、余り評判がよくありません。厚労省が試算した「診療科別・都道府県別の必要医師数」を勘案して全ての都道府県にシーリングを設定してはどうかとの話も出ていますが、更に評判が悪いようです。外科のサブスペシャルティの認定にしても色々と問題があります。専門医機構はしっかりと問題に取り組んでいかなければなりません。専門医制度については厚労省主導で進んでいくと更に問題がおこるのではと危惧しております。
●医師の偏在について、厚労省は、診療所の数が多い地域の開業に制限を設ける方針を示しましたが、法的強制力を持った開業規制については何とか阻止されました。しかし、同じ地域に同じ診療科がたくさんある状態はあまり良くないので、今月21日に開催された都道府県医師会長協議会の中でもお話がありました。日医の役員の答弁は、ルールを作ってほしいというものでしたが、そのルールを教えてほしいと再質問しました。厚労省主導ではなく、医師会が中心となって診療科の競合を少なくするルールを策定したいという回答でした。確かにそういうルールも必要かもしれませんが、昔に戻っているような気さえするところです。
厚労省主導で物事が進むと色々と問題が出てくるので、注視していきたいと思います。
□□報 告
令和元年度第1回都道府県医師会長協議会の結果について (金井会長)
令和元年5月21日(火)に日医で開催。
●日医の横倉会長の挨拶後、「ACPにおけるかかりつけ医の役割」「地域枠・新専門医制度・働き方改革等、制度の渦中にある後期研修医へのサポート」など、9題の質問・要望に対して、各担当役員から回答がありました。詳しくは資料をご覧ください。
□□お知らせ
1.第16回埼玉県内科医会・埼玉県総合内科専門医会合同カンファレンス
〇日時:令和元年7月20日(土)15:15~18:30
〇場所:さいたま赤十字病院 2階「多目的ホール」
〇TOPIC紹介(循環器内科、呼吸器内科、血液内科、腎臓内科、TAFRO症候群)
〇後期臨床研修プログラム紹介
〇特別講演Ⅰ:『敗血症の感染源の探し方・治し方』埼玉医大総合医療センター総合診療内科 准教授 岡 秀昭 先生
〇特別講演Ⅱ:『内科医が知っておくべき皮膚疾患について』
自治医科大学附属さいたま医療センター皮膚科 教授 出光 俊郎 先生
〇 会 費:無料
〇情報交換会:ホテルブリランテ武蔵野 5階「マーガレット」
日本内科学会総合内科専門医会2単位、日本医師会生涯教育3単位(カリキュラムコードは26「発疹」・28「発熱」・73「慢性疾患・複合疾患の管理」)
日本臨床内科医会5単位が取得できます。
共 催:埼玉県内科医会、埼玉県総合内科専門医会、埼玉県医師会、第一三共株式会社(埼玉県総合内科専門医会事務局:さいたま赤十字病院膠原病・リウマチ内科 上川哲平
TEL:048-852-1111、FAX:048-852-3120)
★患者さんのための3つの宣言実践医療機関登録事業
埼玉県医師会と埼玉県で実施しています。この事業は、医療機関が自らインフォームド・コンセント、診療情報の開示、セカンド・オピニオンへの協力について宣言・実践することで、患者さんとより良い関係を築くことが目的です。ぜひ登録をお願いします。申請用紙は埼玉県医師会HPをご確認下さい。
※問合せ:医事・福祉課(TEL 048-824-2611)
*次回のFAXニュース送信は6月15日の予定です。
金井会長ホットライン は下記あてに
ファックス:048-824-3630
携帯電話:090-7415-2237
E-mail:kaichou@office.saitama.med.or.jp
最近のトピックス ![]()
※1
厚生労働省が風疹対策として今年4月から始めた「抗体保有率が低い世代の男性に対する風疹ワクチンの定期接種」について、6月末までに全国8割強の自治体が対象者へ風疹抗体検査の受診券を送付できる見通しだ。厚労省は、今回の対策方針を定めた政省令を2月に施行したが、自治体の予算手続きやシステム改修などの都合上、4月から実施できた自治体は少なかったのが現状。厚労省は今後も、各自治体に事業への理解を呼び掛けることとしており「2020年までに対象世代の風疹抗体保有率を85%まで高める」とした目標の修正は必要ないと考えている。
厚労省は昨年から流行が続く風疹の対策として、これまで一度も定期接種を受ける機会がなかった「1962年4月2日から79年4月1日までの間に生まれた男性」に対する定期接種を開始した。現在約80%にとどまっている同世代の風疹抗体保有率を、2020年7月までに85%以上、21年度末までに90%以上に押し上げることを目標に掲げている。
今回の対策ではワクチンを有効活用するため、対象者に「抗体検査」を実施し、抗体価が低かった人だけにワクチンを接種する2段階の仕組みを打ち出している。また、対策の開始直後は抗体検査の一時的な需要増加も考えられることから、市区町村が段階的に受診券を送付する方針も提示。対策初年度の今年4月から来年3月は「1972年4月2日~79年4月1日生まれの男性」に市区町村から受診券を送付する。事業費は、抗体検査が国と自治体で半分ずつ、定期接種は国が9割を交付税措置で負担する。
※2
中医協総会は5月29日、働き方改革と医療の在り方をテーマに議論を進めた。診療側は働き方改革に伴う人件費増が確実に見込まれるとし、安定的な病院経営の観点からも2020年度診療報酬改定での医師事務作業補助体制加算の要件緩和や、入院基本料の引き上げを求めた。一方、支払い側は、働き方改革では医療機関のトップによるマネジメント改革や、医療従事者の意識改革を最優先に進めるべきと強調。診療側が求める加算要件緩和や入院基本料の引き上げには慎重姿勢を示した。
議論では、日医の松本吉郎常任理事が、病院勤務医の負担軽減には医師事務作業補助体制加算が有効である一方で、実際に算定しているのは対象となる医療機関全体の約3割にとどまっているなどと指摘。現場で活用してもらうためにも現行要件の見直しの必要性を訴えた。
※3
日本医師会は5月22日、会内の外国人医療対策委員会がまとめた中間答申を公表した。訪日外国人と在留外国人、それぞれに向けた医療提供体制の在り方を検討しており、訪日外国人の未収金対策については「医師は、事前に提供する医療の内容を説明して、提供する医療並びにかかる費用と支払い方法について合意を取ることが必要」との考えを示した。
ただ、緊急重篤な患者から事前に合意を取ることは困難なため、こうしたケースに対しては、国が公的補助を中心とした支援を検討すべきだと主張した。また医療機関向けの未収医療費保険について「全くの未回収となる事態を防ぐため一定の役割がある」と位置付けた。
治療前に自由診療の相場感を説明するため、国が「疾病別におおよその費用算出についての考え方を示すべき」とも強調。さらに「この場合、電話通訳を含む医療通訳などの費用についても事前に説明する必要がある。医療通訳の最終受益者は外国人患者であり、医療機関が(費用を)負担すべきではない。費用をどう賄うかは、費用を旅行保険に入れることを含め検討する必要がある」とした。
※4
厚労省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」は5月31日、オンライン診療で緊急避妊を実施する場合の要件を大筋で了承した。まずは地域の産婦人科医を受診することを原則とし、近くに受診可能な医療機関がない場合(地理的な要因の他、性犯罪による対人恐怖がある場合)に限って、産婦人科医や研修を受けた医師によるオンライン診療を認めるとした。今後、具体的な文言などを検討する。
※5
国立感染症研究所は6月4日、2019年第21週(5月20~26日)の麻疹の発生動向速報を発表した。第21週は26例の報告があった。19年1週からの累積報告数は566例となり、昨年1年間の報告数(282例)の2倍を超えた。第21週の報告数を都道府県別に見ると、最も多かったのは神奈川で5例、次いで埼玉、福岡、佐賀がそれぞれ4例、宮城が3例などとなった。